土佐遊湯連(とさゆうゆれん)

安全・快適に温泉を楽しむ温泉作法 ~早朝の入浴は危険がいっぱい~

(内田脳神経外科理事長 内田泰史)

温泉地の早朝は最も救急車の出動率が高い

血圧は、早朝に上昇し昼間高い状態を維持、夜間に下がって深夜に最低となるという「日内変動」あり、午前4~8時頃は脳卒中や心筋梗塞などの起こりやすい時間帯です。

朝の湯温は1日の中で最も高くなっています。

早朝の入浴は、血圧の急上昇を招く危険性があるため、注意が必要です。

熱いお湯は避け、つかる時間は5~10分

38℃位のぬるめのお湯では血圧はあまり変動しませんが、熱いお湯に入ると血圧が急上昇します。

また、体から水分が奪われやすく、血液が濃くなって血栓(血液の塊)を作りやすくなります。

その結果、脳梗塞や心筋梗塞などが起こりやすくなります。

温泉は、真水のお湯より厚さを感じにくく、長湯しがちです。

血圧が高い人、高齢の人、体力の弱っている人などは、42℃以上のお湯は避け、湯船につかる時間は1回5~10分程度に努めましょう。

何度も入浴する「欲湯」は禁物

温泉地に着いた日からいきなり何度も入浴すると、2~3日目頃から疲労、倦怠感、便秘や下痢などの症状が出てきます。

これが湯あたり(湯疲れ)です。

特に酸性泉や硫黄泉などの泉質で、温度が高い温泉でよく見られます。

当日は、1~2回、3日目から3~4回くらいにし「欲湯」は控えましょう。

食事の直前直後は控え、入浴前後は水分補給

お湯の温熱作用で皮膚の血管が拡張し、血液が皮膚に集まります。

そのため、胃腸の血液が奪われて働きが悪くなり消化不良を起こしやすくなります。

食後30~60分後の入浴をお勧めします。

また、「酔いざましのひと風呂」は眠気を誘い事故につながる可能性もあります。

さらに入浴では、多量の水分が失われるため、血液が濃くなり血栓が作られやすくなります。

予防のために、入浴前後にはコップ1杯の水分を摂りましょう。

アルコール類の利尿作用にも注意が必要です。

熱があるときは入らない。高齢者は一人で入浴しない

環境の変化で風邪を引く人もみかけます。

他の病気でも、熱が高いときは入浴は控えて下さい。

また、温泉の風呂場は、真水のお湯より滑りやすくなっています。

高齢者の人は必ず家族や仲間と一緒の入浴をお勧めします。


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